2020.03.21|お知らせ
「ぼけますから、よろしくお願いします。」
一気に読んだ。
フリーの
ドキュメンタリー作家
信友直子さんが
娘としての立場、
また作家としての立場から
両親を撮影、記録し続けた本である。
「ぼけますから、
よろしくお願いします」は
2017年の正月に
彼女の87歳の母親が実際に
言った言葉だ。
その時に父親は95歳。
この時から父親が母親を介護する
生活が始まる。
本では母親に焦点が
あてられている。
ただ私の関心はお父さんの
生き方に向かった。
自分の夢を達成できなかった
父親は娘のやりたいこと
(ドキュメンタリー作家になること)を
ずっと応援し続ける。
母親である妻に対しても同じだ。
自分たちのドキュメンタリーを
娘がとってTVで放映することについて
相談を受けた時にも
「おまえ(娘)の役たつのだったら
それでええ」と一言で決まる。
家事にしても
若い時には妻に任せっきりで
何もしなかったのが、妻の介護
をするようになると、
裁縫までするようになる。
軍隊で訓練を受けたそうな・・・
それに何より
「やらされている」のではなく
「そばに(自分が)おれば、
母さんが喜ぶから」やっている。
プロの介護の手が入るようになり、
さらに妻が脳梗塞で倒れて、
意識があやふやになっても
毎日病院に行って付き添う。
「(自分が)おれば、母さんが
喜ぶと思って」行く。
「夫婦愛」とか「やさしさ」とか
言葉ではいろいろ言えるんだろうけど、
実際に
こういう「心持ち」で
ささえてもらったら、
妻はどんなにうれしいだろう。
介護がきれいごとでないのは
周りの話からある程度
理解しているつもりだ。
でもそのうえで、
この本の最後に出てくる
言葉が胸に染みる。
「介護を通して、
親はすべてをかけて
最後の子育てをしてくれる」
Half step ahead/もう半歩前へ